初恋の人 vo. 1

突然ですが

みなさんは初恋の相手のことを

どれだけ覚えていますか?

 

そしてみなさんの初恋は

いつですか?

 

マニアちゃんは

未だにその人の事を一度も

忘れたことはありません

 

毎年自分に問うのです

 

今年彼以上に好きと思える人に

出会えましたか?

 

答えは いいえ なのです

 

一度も はい

に答えが変わった季節はないのです

 

少しばかり過去に遡って

数年前のあの日のお話をしましょう

 

私はあの日あなたに会ったあの瞬間

 

一目惚れをしました

 

あなたと目が合った瞬間

全てを吸い取られそうになりました

 

あなたの持つあの独特な雰囲気

 

話し方 声 匂い 私を見つめる目

クシャッと笑った顔 意地悪そうな微笑み

 

誰かのことを好きになるなんて

あの時の私は思ってもみなかった

 

鮮明に覚えている

 

あなたが初めて私にキスをした

あの時のあなたの唇の熱

唇の匂い 甘酸っぱい舌

優しく髪の毛を撫でる大きな手のひら

 

あの日っきり

出会ったあの日っきりで

もう2度と会う事なんてないと思ってた

 

偶然の出会いだった

 

偶然が2度重なり

私達は翌日一夜を共にする事になった

 

軽くお酒を飲み

頰が赤く染まる

お酒に酔っているのか

彼に酔っているのか

 

彼は何だか忙しない

 

早く部屋に私を連れ込みたいのだろう

 

抱かれたい...

 

心の声が聞こえた

 

はやく

 

週末のバーで流れる上品な音楽に

掻き消されてしまいそうな

心臓の音が鳴り響く

 

ちょっと お手洗い行ってくるね

 

そう言い残し足早に席を後にした私

 

トイレの鏡に映る自分の姿に

しっかりしなさい私といい残し

彼の元に戻る

 

そろそろ行こっか

 

うん

 

と右手を優しく握る彼

 

ダメだ好き

 

私この人のこと凄く好き

 

バタン

 

部屋には微かにドアを閉めた音が響き渡る

 

目の前の視界がいきなり変わる

 

あれ?

 

気づいた時にはベッドに押し倒されていた